ベーキングパウダーが手元にない――そんなときでも、マドレーヌは十分ふっくら焼き上げることができます。
実は、膨らみを左右する本質は「化学膨張剤」よりも卵の乳化・空気の抱き込み・温度管理です。
本記事では
- ベーキングパウダーなしだとどうなるのか
- 具体的な代用方法の違い
- 失敗しない黄金比レシピ
- 入れ忘れたときのリカバリー法
までを、比較表つきでわかりやすく解説します。
初心者でも再現できる内容に絞っているので、ぜひ最後までチェックしてください。
ベーキングパウダーなしマドレーヌはどうなる?失敗しやすい原因

見た目・高さ・食感の違い
ベーキングパウダーを入れない場合でも、工程を丁寧に守ればやや控えめな高さで、きめ細かくしっとりとした口どけが基本形になります。
派手にこんもり膨らむというよりは、密度がありつつ軽さも感じられる上品な仕上がりが特徴です。
一方で、卵と砂糖の乳化が不十分だったり、空気をうまく抱き込めていなかったりすると、生地内部に細かな気泡が形成されず、結果として高さが出にくくなります。
さらに粉を練りすぎるとグルテンが出て生地が締まり、焼き上がりが平たい・目の詰まった重たい食感になりやすくなるため注意が必要です。
ベーキングパウダーあり・なし比較表
| 比較項目 | BPあり | BPなし(成功時) | BPなし(失敗時) |
|---|---|---|---|
| 高さ | 安定して出る | やや控えめ | 低く平たい |
| 食感 | ふんわり軽い | しっとり濃厚 | どっしり重い |
| 失敗率 | 低め | やや高め | 高い |
| 重要ポイント | 計量 | 乳化・温度管理 | 混ぜ不足・予熱不足 |
膨らまない主な理由
- 卵の泡立て不足(全卵の乳化不十分)…卵と砂糖がしっかりなじんでいないと空気を抱き込めず、生地内部に十分な気泡ができない
- 砂糖の溶け残り…溶解不足は乳化不良を招き、焼成時の膨張が弱くなる原因になる
- 粉の混ぜすぎによるグルテン過多…必要以上に練ると生地が締まり、軽さが失われてしまう
- 予熱不足・低温焼成…オーブン温度が安定していないと一気に膨らまず、高さが出にくい
ベーキングパウダーの代用方法まとめ

代用法比較一覧
| 代用方法 | 膨らみ | 風味変化 | 難易度 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 重曹+酸 | ◎ | ややあり | 中 | ★★★★☆ |
| ホットケーキミックス | ◎ | 甘くなる | 低 | ★★★☆☆ |
| 卵白泡立て | ○ | 変化少 | 中 | ★★★★★ |
| 炭酸水置換 | △〜○ | ほぼなし | 低 | ★★★☆☆ |
重曹だけで作れる?正しい使い方
重曹は単体でも加熱によって炭酸ガスを発生させるため、ある程度の膨らみは得られます。
ただしアルカリ性が強いため、そのまま使うと独特の苦みやアルカリ臭が残りやすい点がデメリットです。
これを防ぐために、レモン汁や酢を数滴加えて中和させるのが重要なポイント。
酸と反応することで発泡が安定し、風味の違和感も抑えられます。
使用量は小麦粉100gに対し1g前後が目安ですが、入れすぎると色づきが濃くなったり風味が変わったりするため、必ず正確に計量しましょう。
ホットケーキミックス代用法
小麦粉の一部をホットケーキミックスに置き換える方法です。
ホットケーキミックスにはあらかじめ膨張剤や砂糖が含まれているため、特別なテクニックがなくても自然と高さが出やすく、初心者でも安定しやすいのがメリットです。
ただし、その分甘さが強くなりやすく、風味もややホットケーキ寄りになります。
仕上がりをバランスよく整えるためには、砂糖は10〜20%ほど減らし、バターやはちみつの量でコクを調整するとよりマドレーヌらしい味わいに近づきます。
卵白・炭酸水を使う方法
- 卵白を軽く泡立ててから生地に合わせる…ツノが立つほど固くする必要はなく、白っぽくなり細かな気泡ができる程度でOK。泡をつぶさないようゴムベラでさっくり混ぜ込むことで、生地全体に空気が均一に行き渡り、軽やかな食感に仕上がる
- 牛乳の一部を無糖炭酸水に置換(10〜20%)…炭酸のガスが加熱時に膨張を助けるため、自然なボリュームアップが期待できる。入れすぎると水分過多になるため、全体量の2割以内にとどめるのが安定のコツ
失敗しない基本レシピ(ベーキングパウダーなし)

材料と配合の黄金比(6個分)
しっとり感と軽さを両立させるためのバランス配合です。
甘さ・コク・焼き色の出方まで計算した比率なので、まずはこの通りに作るのがおすすめです。
- 卵…2個(約100g)※常温に戻しておくと乳化しやすい
- 砂糖…80g(きめ細かいグラニュー糖推奨)
- 無塩バター…100g(焦がさず溶かして40℃前後に冷ます)
- 薄力粉…100g(事前にふるっておく)
- はちみつ…10g(保湿と焼き色アップの役割)
それぞれの材料には役割があります。
卵は生地の骨格と空気保持、砂糖は甘味だけでなく水分保持、バターはコクと口どけ、はちみつはしっとり感の持続に貢献します。
ふくらませる混ぜ方のコツ
- 卵と砂糖を白っぽくなるまで混和する。泡立て器でしっかり混ぜ、砂糖を完全に溶かすイメージ。表面がややとろみを帯びればOK。
- 溶かしバターを少量ずつ乳化させながら加える。一気に入れず、3〜4回に分けて混ぜることで分離を防ぐ。
- ふるった粉を加えたら、ゴムベラで底から返すようにさっくり混ぜる。練らないことが最大のポイント。
工程ごとに「混ぜすぎない・急がない」を意識することで、ベーキングパウダーなしでも自然なボリュームが出ます。
焼き時間と温度管理
- 170〜180℃に完全予熱(最低10分以上)
- 型に8分目まで流し入れる
- 12〜15分焼成し、縁が色づき中央がふっくら盛り上がれば完成
- 焼き色がついたら即取り出し、型から外して粗熱を取る
オーブンの個体差があるため、最後の2〜3分は焼き色を観察しながら微調整してください。
入れ忘れたときのリカバリー法

焼く前の対処
生地段階で気づいた場合は、重曹+酸(レモン汁や酢)をほんの少量追加し、泡をつぶさないようゴムベラでやさしく混ぜ直します。
ここで強く混ぜすぎると、せっかく含まれている空気まで抜けてしまうため注意が必要です。
追加する量はごく少量にとどめ、全体に均一に行き渡る程度で止めるのがポイント。
混ぜ終えたら時間を置かず、できるだけ早く型に流して焼成に移りましょう。
焼いた後の復活アイデア
- 横半分にカットしてクリームサンドにする方法。生地がやや詰まってしまった場合でも、ホイップクリームやカスタード、チョコレートクリームなど水分を含んだフィリングを挟むことで、口当たりがぐっと軽くなります。断面をきれいに整えて粉糖を振れば、見た目も華やかになり来客用のおやつとしても十分活用できます。
- シロップを塗って“しっとり系”へ方向転換する方法。グラニュー糖と水を同量で軽く煮立てたシロップや、はちみつを少し加えた風味付きシロップを表面に薄く塗ることで、水分が補われ、時間が経ってもパサつきにくくなります。ラム酒やオレンジリキュールを数滴加えれば大人向けのアレンジにもなり、失敗を感じさせない仕上がりに変えられます。
素材別アレンジと注意点

米粉マドレーヌの作り方
米粉で作る場合は、小麦粉と比べてグルテンが形成されないため、生地の保水バランスが仕上がりを大きく左右します。
そのため、水分は5〜10%ほど増やすと安定しやすくなります。
特に米粉は吸水性に差が出やすいため、牛乳や卵の量を微調整しながら「とろりと落ちる程度」の生地状態を目安に整えましょう。
また、焼き上がりが乾燥しやすい傾向があるため、はちみつを少量加える、もしくは焼成温度をやや低め(170℃前後)に設定することで、しっとり感を保ちやすくなります。
バナナ・かぼちゃ使用時の調整
バナナやかぼちゃを加える場合は、生地全体の水分量が大きく増えるため、そのままの配合ではベタつきや焼き縮みの原因になります。
そのため、基本配合よりも粉を5〜10%ほど追加して水分バランスを整えましょう。
特に完熟バナナは水分が多く、甘みも強いため、粉の追加に加えて砂糖をやや減らすと味のバランスが整います。
かぼちゃの場合は、しっかり水分を飛ばしてから裏ごしして使うことで、生地が安定しやすくなります。
混ぜ込みすぎると重くなりやすいので、さっくりと合わせるのが成功のコツです。
ベーキングパウダーなしで成功させる3つの鉄則

- 卵と砂糖の乳化を丁寧に行う(白っぽくとろみが出るまでしっかり混ぜ、砂糖を完全に溶かして空気を抱き込ませることが高さの土台になる)
- 予熱を徹底する(最低10分以上しっかり温度を安定させ、投入直後に一気に膨らむ環境を整える)
- 混ぜすぎない(粉を加えた後はゴムベラでさっくり返す程度にとどめ、グルテンを出しすぎないことが軽さを保つ鍵)
まとめ
ベーキングパウダーなしでも、正しい工程を守り基本を押さえれば、マドレーヌは十分にふっくらと焼き上げることができます。
化学膨張剤に頼らなくても、生地そのものの力を引き出せば、きめ細かく上品な口どけに仕上げることは可能です。
特に重要なのは、次の3点です。
- 卵と砂糖の乳化を徹底し、生地の土台となる空気をしっかり抱き込むこと
- 空気をつぶさない混ぜ方を意識し、粉を入れた後は決して練りすぎないこと
- 完全予熱と適切な温度管理を行い、オーブン投入直後に一気に膨らむ環境を整えること
この3つが揃えば、ベーキングパウダーなしでも高さ・軽さ・しっとり感のバランスが整った仕上がりになります。
代用方法にはそれぞれ特徴がありますが、もっとも安定しやすいのは「卵白の活用」または「重曹+酸」の組み合わせです。
より自然な風味を重視するなら卵白法、確実なボリュームを求めるなら重曹+酸、と目的に合わせて選びましょう。
ベーキングパウダーがなくても慌てる必要はありません。
むしろ工程を丁寧に行うことで、素材本来のコクやバターの香りをよりはっきりと感じられる、しっとり濃厚マドレーヌに仕上がります。
今回紹介した比較表と黄金比、そして3つの鉄則を実践すれば、安定した焼き上がりがきっと再現できます。
ぜひご家庭で試しながら、自分好みのベストな配合と焼き加減を見つけてください。


