秋から冬にかけて、リンゴが収穫のピークを迎える季節です。
鮮やかな赤色をしたリンゴは、その酸味と甘さ、そして歯ざわりの良さが魅力ですよね。
しかし、旬のフルーツや野菜はどうしても余りやすいもの。
近隣の農家から頂いたり、家族からのお裾分けで、使いきれずに困ることも少なくありません。
今回は、大量のリンゴを美味しく消費するための方法として、ジャム作りの手順をご紹介します。
リンゴジャムを作る際、常備されているレモン汁が必要になるのですが、万が一家庭になければどうすればいいのでしょうか?
この疑問に対する答えも含めて、以下に詳しく解説していきましょう。
リンゴジャムにレモンを使う理由
リンゴジャムの製作に当たり、なぜレモン汁が用いられるのでしょうか。
ジャム作りに不可欠なレモン汁の重要性について説明します。
ジャムをゲル状にするため
リンゴのジャム製作において、なぜレモン汁を加えるかと言いますと、明確に「ジャムをゲル化させるため」です。
果実に含まれる「ペクチン」という物質が、特定の条件のもとで液体をゲル状に変える力を持っているのです。
ペクチンに関する詳細は、この後説明していきます。
リンゴジャムを作る際、使用するリンゴの品種によっては、レモン汁なしでも適度なとろみが得られることもあります。
しかし、調理途中でとろみが足りなさそうだと感じたら、レモン汁を加えることを検討してみるのも良いでしょう。
ペクチンについて
ペクチンは、リンゴやレモン、オレンジといった柑橘類の皮に含まれる成分のひとつです。
この物質は水分を吸着し、細胞間を結びつけることで重要な役割を果たしています。
そして、液状のものを固めるゲル化作用を持っているため、ジャム作りにおいて欠かせない存在となっています。
ペクチンは、糖度が55度以上でpHが3.5未満の条件下でゲル化しやすくなる特性を持っており、そのためジャム作りの際にはレモン汁を加えることで、適切な酸性状態を生み出し、ジャムを適切なゼリー状にすることができます。
レモン不足で固まりにくい可能性
先に説明したように、ペクチンが果たす役割は非常に重要です。
そのため、レモンの果汁が不足していると、ジャムが緩くなる恐れがあるか、もしくはリンゴの煮物のような感触になる可能性があります。
市販されているようなしっかりと固まったジャムを目指している場合は、レモン汁の使用が不可欠と言えるでしょう。
レモン不使用で作るりんごのジャム
慣例ではジャム作りにはレモン汁が欠かせないと思われがちですが、家庭にレモンが無い時もあるでしょう。
しかし心配は無用です。
レモン汁を使用しなくても十分に美味しいジャムの作り方が存在しますので、是非試してみてください。
使用材料
レモン汁を使わずに作るリンゴジャムに必要な材料です。
- リンゴ:お好みの量
- 砂糖:リンゴの重さの約30~50%
- クエン酸:リンゴ200グラムごとに小さじ1/4
クエン酸を添加することでレモン汁の代役を果たし、レモンがない場合にはクエン酸で代用できます。
もしクエン酸が手元にない場合は、ポッカレモンや他の柑橘類の皮を加えたり、リンゴの芯を利用して煮込むのも良い方法ですが、風味は異なるものが混じることに注意してください。
リンゴジャムのレシピ(レモン不使用)
手軽に作れるレモン汁を使わないリンゴジャムの作り方をご紹介します。
- まず、リンゴを洗浄し、皮と芯を取り除く。
- 次に、リンゴを5ミリ角程度に切るか、お好みで摩り下ろします。(粗いみじん切りでも可)
- 鍋に切ったリンゴと砂糖、クエン酸を投入し、中火~強火で加熱し沸騰させる。
- 沸騰したら焦がさぬよう弱火にして、10分から15分ほど煮詰める。
- 熱いうちに消毒済みの保存容器に詰めれば完成です。
この手順は非常に明快で、切って混ぜて煮込むだけという簡単さです。
朝食時のヨーグルトやパン、煮物の甘味料としても活用できるため、さまざまな場面で重宝します。是非ともお試しください。
リンゴジャムに適したリンゴの品種
リンゴジャム作りを成功させるためには、リンゴの品種選びが大切です。
ここでは、リンゴジャムに最適な品種について紹介します。
紅玉
リンゴジャムに最も向いている品種は「紅玉」と称されるものです。
この品種は酸味が強烈で、果肉が堅固なことが特徴で、加熱しても形が崩れにくいため、ジャム作りを筆頭に、アップルパイなどの洋菓子作りにも頻繁に用いられています。
陸奥
陸奥りんごは、米国起源の品種と日本で育成された品種を交配させて誕生したりんごです。
これにより、ほど良い酸味と適度な固さを持ち合わせ、ジャム作りに最適であると言われています。
特筆すべきは、その濃厚な風味で、加工してジャムにしても、りんご固有の香りがふんだんに感じられることでしょう。
ジョナゴールド
ジョナゴールドとは、甘みと酸味の絶妙なハーモニーが特長の人気リンゴ品種です。
市場においても頻繁に見かけることができます。
このリンゴは、酸味を持つ紅玉を親に持つため、確かに酸味を感じることができますが、紅玉ほどの強烈な酸味ではなく、生食にはもってこいです。
また、ジョナゴールドはジャム作りに適しており、お勧めの品種であると言えるでしょう。
まとめ
今回は、リンゴジャムに用いるレモンの果汁の必要性や、ジャム作りに適したリンゴの種類についてお話ししました。記事の内容をまとめると以下の通りです。
- リンゴジャムにレモンの果汁を加えると、ペクチンの働きで適度なとろみが生まれる。
- ペクチンは、糖分濃度が55度以上、ph値が3.5以下である環境下でゲル化する特性を持つ。
- 身近にあるリンゴでジャム作りを行っても良いが、特にジャム用途に適したリンゴの品種が存在する。
どうでしょうか?
ジャム作りにおいてレモン汁を利用する目的についてご理解いただけたなら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪